健康講座
便秘・痔の予防
- 取材協力・監修
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平田 雅彦 先生
平田肛門科医院院長。’81年筑波大学医学専門学群卒業。’82年慶応義塾大学医学部外科学教室に入る。その後、一般外科を経て、大腸肛門病の専門医への道を志す。’85年社会保険中央総合病院大腸肛門病センターに入り、大腸肛門病の専門医として豊富な臨床経験を積む。最新の医療技術と心身の生活指導を通し、患者が本来持つ自然治癒力を最大限に引き出す治療法には定評がある。
生活習慣を改善し、ビフィズス菌、食物繊維をしっかり摂って便秘と痔を予防する。
- 成人の3人に1人が痔主。まずは痔の大敵、便秘を改善すること
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生活習慣病の増加が社会的にも問題になっていますが、痔も生活習慣病の1つです。成人の3人に1人、50代以上の2人に1人が痔を患っているといわれます。日本人に多い病気では、第1位が虫歯、それに次ぐ第2位が痔。痔とは実にポピュラーな病気なのです。
最近は、痔の治療は手術よりも、発病の引き金となったライフスタイルを変えることで治すのが主流となっています。痔の予防、治療には、痔の原因となる生活習慣を改善することが第一です。
そして、痔かなと気になったら、腸の検査を受けることが大切です。自分は痔だと思い込んでいて、実は直腸ガン・大腸ガンだったというケースもあるからです。「痔は恥ずかしいから」「痔は死ぬ病気ではないから」などといっているうちに、ガンが進行し、取り返しのつかないことになりかねません。ガンの早期発見のためにも、できるだけ早く専門医に診てもらいましょう。直腸ガン・大腸ガンは急増しており、5年後には胃ガンを抜き、消化器のガンの死亡率のトップになると予想されています。
痔の予防、治療には、まず一番の大敵である便秘を改善すること。排便のとき、なかなか便が出ず、強くいきむと200ミリもの圧力がかかります。血圧で200ミリといえば、脳の血管が破裂するほどの圧力です。それほど激しい圧力を、排便のたびに肛門の静脈叢にかけ続ければ、肛門が炎症を起こし、痔になるのも当然です。
しかし、毎日排便がないからといって、便秘薬に頼るのは止めましょう。薬を常用していると、腸が薬に頼るようになり、自分から便を押し出す力が低下してしまいます。また、乱用すると、腸の神経細胞が減少し、便秘はますます悪化することになります。
- 痔になったり、悪化させる原因は、肛門内に炎症を起こすこと。
炎症を起こす原因は次の5つです。 -
- 1. 排便異常
- 2. 疲れ
- 3. ストレス
- 4. 冷え
- 5. 飲酒
なぜ、この5つが原因となるのかは、肛門に炎症を起こす攻撃因子と、逆に炎症から体を守る防御因子に分けて考えると分かり易いでしょう。攻撃因子の増大、防御因子の低下が痔を発病、悪化させることになるわけです。
攻撃因子の増大
- 1. 汚い老廃物でアルカリ性の便そのものが攻撃因子。便秘をしてお腹の中で腐敗した硬い便をいきんで出すと、炎症を起こしやすくなる。
- 5. お酒の主成分であるアルコールが血管を拡張して炎症を引き起こす物質である。
防御因子の低下
- 2. 肉体的疲れは、防御因子である局所免疫力を弱める。
- 3. 精神的ストレスは、防御因子である局所免疫力を弱める。
- 4. 体の冷えは、肛門内部の血液の循環障害を起こし、炎症を起こす。
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そこで、リラクゼーション法とイメージ法を組み合わせた「平田式ラクラク排便法」を紹介しましょう。
朝、目が覚めたら、横になったまま、ゆっくりと腹式呼吸をしながら、両方の手足の先、足首・手首を回したり、こすりあわせたりして、ゆっくりと体全体を目覚めさせてから起きます。それから、腰かけて、目は閉じるか半眼に、足を肩幅に軽く開き、腕や首はできるだけ力を抜き、ゆっくり深呼吸しながら、自分の呼吸のリズムに合わせて、4~5回ほど足首を回します。次に、足の膝から下、ふくらはぎ、太腿の前と後ろ、おしりの順にゆっくりとさすります。お腹、胸、背中など全身も心地よく感じるままにさすりましょう。体がほぐれて存在感が味わえるようになったら、目を閉じ、鼻からお腹の底へ息をいっぱい入れ、少し止めてからフウッーと自然に吐き出します。このとき、「足の裏から息を吸い上げ、頭のてっぺんから空へ吐き出すようなイメージを描きながら行ないます。
起き上がって、冷たい水、または牛乳を2杯、「水が腸にしみわたってゆく」イメージを描きながら飲みます。そして、お腹を右回りに「腸が動いていく」イメージを描きながらさすります。便が直腸に降りてくるのを感じたらトイレに行き、軽くいきみ、肛門を開くようにします。気持ちよく排便が出来たら、そのイメージを次の朝の排便まで大切にとっておいてください。
- 「赤ちゃんのように腸内ビフィズス菌が80%になれば、便秘することはない」
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便秘とは、便が3日以上出ないか、毎日出ても残便感がある状態をいいます。理想的な排便とは、1日に1回、いきまず、1~2分でストンと出ること。
では、人間の中で、便秘をすることなく、理想的な排便をしているのは誰でしょう。それは、赤ちゃんです。毎日お母さんのおっぱいを飲み、規則正しく便を出します。逆に、便秘しやすいのは高齢者。この赤ちゃんと高齢者の違いは、腸にあります。腸内の状態、腸内に棲みついている細菌が違うのです。
赤ちゃんの腸内は80%近くがビフィズス菌です。一方、高年齢の腸内には健康によい働きをするビフィズス菌は少なく、健康に悪い働きをする悪玉菌が多く存在します。年をとるにつれ、腸内のビフィズス菌は減っていきます。60歳を過ぎると、急速に減少するという研究結果も報告されています。
つまり、便秘を解消するためには、赤ちゃんのときのような腸内の状態(ビフィズス菌が80%)に戻せばいいというわけです。
高齢者の方などで、ヨーグルトなどの乳製品が苦手な人、また1日25グラムの食物繊維を摂るのが難しいという人は、ビフィズス菌や食物繊維の栄養補助食品を利用するのもいいでしょう。
食物繊維たっぷりのカンタン料理
- ひじきとブロッコリーのマヨネーズ和え(1人分)
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・材料
ひじき(乾燥) 小さじ1/10 ブロッコリー 1/3個 マヨネーズ 小さじ2/3 牛乳 小さじ1 塩 少々 こしょう 少々 レモン汁 数滴 食物繊維 5.0グラム エネルギー 56キロカロリー
- 大豆と牛ひき肉のトマト煮(1人分)
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・材料
大豆(水煮) 1/2カップ タマネギ 中1/5個 牛ひき肉 15グラム トマト(缶) 50グラム マッシュルーム 5個 油 小さじ3/4 白ワイン 小さじ1 1/2 塩 小さじ1/5 こしょう 少々 食物繊維 5.1グラム エネルギー 47キロカロリー
食物繊維の健康効果
便秘の改善
消化されない非水溶性の食物繊維は、水分を吸収することで膨張して便の量を増やし、消化管内の便の通過時間を短縮します。また、腸内のビフィズス菌など善玉菌を増やし、腸内フローラのバランスを改善する効果があります。
肥満の予防
食物繊維を多く含む食品は、胃腸内で水分を吸収して膨張するため、満腹感が容易にえられます。一般に食物繊維を多く含む食品は、よく噛まなければならず、結果的に食べ過ぎを防ぐことになります。また、食物繊維は食物の消化管の通過時間を早めるために、血液中の中性脂肪の量を低下させて、肥満を改善します。
糖尿病の改善
水溶性の食物繊維であるペクチン、グアガムなどは、消化管の内壁をおおって、糖質の吸収スピードを遅らせ、血糖値の上昇力が抑えられることから、インスリンの節約効果をもたらすものと考えられます。
高血圧の予防
高血圧の主因はナトリウムの摂りすぎといわれますが、食物繊維の中でも、特に海藻に含まれるアルギン酸は、腸内でナトリウムと結合してナトリウムの体内での吸収を低下させ、逆にカリウムを体内に放出させる働きがあり、高血圧を予防します。
高コレステロール血症の予防
水溶性の食物繊維であるペクチン、マンナンなどは、胆汁酸と結合して血中コレステロール値を低下させることがわかっています。
大腸ガンの予防
高食物繊維を摂っている人に大腸ガンの発生率が低く、逆に低食物繊維を摂っている人には発生率が高いということが、疫学調査でわかっています。












