健康講座
恐いのは皮下脂肪より内臓についた脂肪。
小麦アルブミンで内臓脂肪の蓄積を防ごう!
共立女子大学家政学部教授 昭和大学医学部客員教授 聖マリアンナ医科大学客員教授
杏林大学医学部客員教授 国立健康・栄養研究所客員客員教授
医学博士 井上 修二 先生
- 内臓脂肪はどうすれば落とせるのか
- 男性と50歳以上の女性は、内臓に脂肪がつきやすい
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―肥満は生活習慣病の元凶であるといわれますが、それはなぜですか。
井上 太って身体に脂肪が蓄積すると、インシュリンの効き目が悪くなり、インシュリン抵抗性が出てきて、糖尿病や高脂血症、高血圧などの生活習慣病を引き起こすことになるからです。若い女性の場合、女性ホルモンのエストロゲンの作用で皮下脂肪がつき下半身太りの人が多いのですが、男性は太り始めると、まず脂肪は内臓につきます。ただ、女性も50歳以上の更年期以降の人は、男性と同じで、内臓脂肪がつきやすくなり、お腹が出てきます。
―生活習慣病の元凶とされるのは、内臓脂肪なのですね。
井上 そうです。身体全体の脂肪に対する内臓脂肪の割合は10~15%ほどで、あとは皮下脂肪なのですが。私たち日本人などアジア民族は、内臓脂肪が溜まり、インスリン抵抗性はまだ弱いときに、糖尿病などを発病してしまう。だから、重症な肥満になる前に病気になります。一方、欧米人は、内臓脂肪と皮下脂肪の両方が溜まって、強いインスリン抵抗性になってから発病します。それで、日本人と違って、糖尿病になっていても、まだ太るんですね。軽いインスリン抵抗性で生活習慣病が出てしまうのが、アジア民族の特徴なのです。だから、内臓脂肪が過剰に溜まらないようにしなければなりません。
- お腹が出ている人は、ウエストサイズを測ってみよう
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―お腹の脂肪を手でつまんで、つまめるようだと内臓脂肪がついているということですか。
井上 以前は、そう言われていましたが、手でつまめるのは内臓脂肪ではなく、皮下脂肪なんです。逆に、内臓脂肪が多い太り方だと皮下脂肪が薄くて、あんまりつまめないんですよね。
―では、CTスキャンなどではなく、手軽に内臓脂肪がついているかどうかを調べるには。
井上 簡単なのは、お腹の出っ張り方を見ることです。ウエスト周りを測って、男性の場合85cm以上、女性の場合90cm以上だと内臓脂肪が蓄積している疑いがあり、生活習慣病になりやすいというシグナルが出ているといえます。
―ウエストとヒップの比によって内臓脂肪がついているかがわかると聞いたことがありますか。
井上 最近はウエスト周囲を測った絶対値のほうが良いとされています。内臓脂肪は太り始めたとき、最初につきます。ただ、お尻や下半身などにつく皮下脂肪はなかなかとれませんが、内臓脂肪というのはつきやすいが、とれやすいのです。
- 内蔵脂肪をとるには、軽い減食と適度な運動
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―内蔵脂肪はとれやすいとのことですが、どうすれば。
井上 軽い減食と適度な運動です。食事制限だけでダイエットしようとする人が少なくありませんが、減食だけではなく、運動との組み合わせが大切です。減食をしても運動をしないと内蔵脂肪が溜まる上に、人間が持っている適応の作用で、なかなか体重は減りません。
―それは、なぜですか。
井上 例えば、2000キロカロリー摂って2000キロカロリー消費していたのを、1500キロカロリーに摂取カロリーを減らすと、人間の身体は生命を守るために1500キロカロリーの消費で間に合わせるよう適応するんですね。その適応能力をもたらすものが、倹約遺伝子というもので、倹約遺伝子が一生懸命に働いて、消費エネルギーを減らして、少なくなった摂取カロリーに適応しようとするんです。食事制限をしていて、食事を普通に戻すとリバウンドしてしまうのは、そのためです。がんばって減食して1ヵ月、2ヵ月かけて2キロ体重を減らしたのに、1週間食べ過ぎただけで元の体重に戻ってしまったりするわけです。だけど、運動をしていると、2000キロカロリーの食事を1500キロカロリーに減食しても、消費エネルギーを2000キロカロリーに保つことができる。消費エネルギーには、基礎代謝と活動代謝、そして食事誘導性熱産生があります。基礎代謝は、寝ている間など安静にしている状態で消費するエネルギー。活動代謝は、身体を動かすことで消費するエネルギー。その割合は、基礎代謝が60%と一番大きく、次いで活動代謝が30%、食事誘導性熱産生が10%です。運動をしないと、活動代謝だけではなくて、基礎代謝まで下がってしまいます。運動をすると、基礎代謝を上げておくことができるので、減食することが、すなおに減量につながるのです。
- 小麦アルブミンの内臓脂肪の蓄積を防ぐ働きに期待
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―脂肪は1時間以上続ける運動をしないと、落ちないといわれますが。
井上 以前はそういわれていましたが、これも最近、考え方が変わってきました。60分の運動を1回したのと、10分以上の運動を数回に分けて60分したのでは、減量効果に差がないということがわかりました。
―1時間のウォーキングは大変ですが、10分くらいならできそうです。
井上 規則的に歩くのなら、朝晩10分ずつぐらいを日課にして、あとは買い物に車を使わず歩いていくとか、会社のある駅の一つ前で降りて歩くなどして1日1万歩を目指しましょう。
―内臓脂肪の蓄積を防いでくれる食材または健康素材はないのですか。
井上 最近、食後の血糖値を抑える作用のある小麦アルブミンを軽い糖尿患者に使用して、内臓脂肪に対する効果を検討する研究を行いました。小麦アルブミンを6ヵ月摂取すると、体重は少ししか減りませんでしたが、内臓脂肪が減少するということがわかりました。それがなぜかということは、まだわかっていませんが。
―小麦アルブミンには食後の血糖値を抑える働きだけでなく、内臓脂肪を落とす働きもあるのですね。10分以上の運動を習慣にし、甘いものを控え、小麦アルブミンの助けをかりて、内臓脂肪を落とすことで、生活習慣病の予防と治療効果が期待できるというわけですね。











