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元気なからだづくりを心がけよう

別冊 リブロン通信
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私たちの身体機能は年齢とともに低下します。この身体機能の低下を抑えたり、身体機能を少しでも回復することができれば、元気な生活を送り、健康寿命をのばすことにもつながるでしょう。そうした観点から、老化と関わりの深いエネルギー産生、さらには抗酸化についていま一度考え、先のビタミン・ミネラルと同じように元気な体づくりをサポートする栄養成分・CoQ10についてご紹介しましょう。

取材協力・監修
岡本 正志 先生

神戸学院大学薬学部助教授
学術博士

老化によって低下するエネルギー産生能力を取り戻す。

老化とエネルギー

エネルギーをつくり出す能力の低下が老化のひとつの要因に。

60兆個の細胞が活動することで人は生命を維持。

 老化のひとつの要因として、新陳代謝やエネルギー代謝など代謝の減衰があげられることは前述しました。この代謝の減衰を引き起こし、また、老化を進めるひとつの要因と考えられているのが、エネルギー産生能力の低下です。

 私たちの体は、およそ60兆個にものぼる細胞から成り立っています。これらの細胞は、私たちが日々生活を送るために必要なエネルギーをつくり出しています。

 心臓を例にとると、心臓を構成するひとつひとつの細胞がエネルギーをつくり出し、そのエネルギーによって心臓を取り囲む丈夫な筋肉である心筋は、24時間休むことなく働き続けることができます。もしエネルギーが十分につくられなくなれば、心筋の働きは低下。息切れや動悸といった症状が現れることになります。

 各細胞内では、食物から摂取した栄養素を酸素が燃焼させてエネルギーを生み出しています。栄養素をきちんと補給してそれを燃焼させるというサイクルをしっかり回さなければ、細胞はエネルギーを生み出せなくなり、人は生きていくことができません。また、私たちの体のほとんどの部分では、常に新しい細胞が生まれ、古い細胞と入れ替わっていますが、こうした細胞の入れ替わりのサイクルも、生命維持には欠かせない仕組みです。

 細胞はひとつの生命体です。細胞自体がいつも元気に活動することでエネルギーが生まれ、新しい細胞もつくられていきます。

細胞内のミトコンドリアがエネルギーを生み出す。

 エネルギーは、細胞内に存在するミトコンドリアという小器官の中で、栄養素が酸素で燃焼されることによって生み出されます。ひとつの細胞に含まれるミトコンドリアは50から200ほどです。

 ミトコンドリアによるエネルギー産出量は、私たちが必要とする全エネルギーの95%にものぼるため、ミトコンドリアは「生命のエネルギー工場」と呼ばれています。骨格筋や心臓、肝臓、腎臓、脳などエネルギー代謝の盛んな臓器・器官の細胞ほどミトコンドリアの数は多く、それだけたくさんのエネルギーをつくり出すことで、筋肉を動かしたり、心臓を働かせているわけです。

 そのためエネルギーをつくり出す能力が低下すると、さまざまな形で人の活動は支障を来します。筋肉を動かす力が衰えると、歩いているときに物につまずきやすくなる。心筋の働きが低下して、すぐに息切れする。肝臓の働きが弱くなって、若い頃には酔わなかったお酒に酔いやすくなる…。いずれもエネルギーをつくる能力が低下することが、ひとつの大きな原因になっていると考えていいでしょう。

 こうしたことが起こらないよう、エネルギーを生み出す能力をできるだけ維持・向上させることが大切になります。


エネルギー産生

エネルギー産生の元となるATPをつくるうえで欠かせないCoQ10。

エネルギー工場の働き手として欠かせないCoQ10。

 私たちが生きていくうえで必要なエネルギーは、ATP(アデノシン三リン酸)と呼ばれる物質が元となって生み出されます。ATPはミトコンドリア内で生成されますが、ATPの生成に欠かせない物質がCoQ10です。

 CoQ10は、体内の酵素の働きを助ける役目を担っています。酵素は化学反応によって体内の物質を分解したり合成するものですが、CoQ10はこの酵素の働きをサポートする「補酵素」としてミトコンドリア内に存在しています。また、先のビタミンと同じような役割を果たすため、「ビタミンQ」との別名もあります。ただし、ビタミンが体内で生合成されないのに対して、CoQ10は体内でつくり出すことができることから、正しくは「ビタミン様作用物質」のひとつです。

 エネルギー工場であるミトコンドリアでは、数多くのCoQ10が日夜エネルギーをつくり出し続けています。CoQ10はいわばエネルギー産生に欠かせない戦力。この戦力が休んだり足りなくなると、エネルギーは生み出されなくなります。

スムーズに効率よく、たくさんのエネルギー産生へ。

 ミトコンドリア内におけるエネルギー産生の仕組みを、もう少し詳しく見てみましょう。

 「ミトコンドリア工場」では、酸素と三大栄養素(糖質・たんぱく質・脂質)をエネルギーをつくるための主な材料として仕入れます。このうちもっとも重要なのが糖質(炭水化物)です。ベルトコンベアに乗せられた炭水化物はすぐにブドウ糖に分解され、3つの工程を経て、エネルギーをつくる元となるATPをつくり出します(【図2】)。

 ATPは第一・第二工程で少量がつくられます。しかし、もっとも大量に生成されるのが、第三の工程です。この工程=電子伝達系で必要不可欠な働き手がCoQ10。第二工程で発生した電子を交通整理して、効率的・スムーズにかつ大量に第三工程に送り、ATPをつくり出しています。

 こうした役目を担うことから、CoQ10はエネルギー産生に欠かせない物質と呼ばれるわけです。

骨格筋や心筋に対する作用が研究によって明らかに。

 エネルギー産生に関わるCoQ10の研究成果はいくつも報告されています。このうち、エネルギーをたくさん必要とし、CoQ10も多く必要とされる骨格筋と心筋に対するCoQ10の作用について、マウスやラットなど実験動物を用いた研究結果をご紹介します。

 通常、筋肉は、電気刺激が加えられて収縮・弛緩を繰り返すと、疲労物質である乳酸値やLDH(乳酸脱水素酵素)値が上昇し、細胞内でのATP量も低下してきます。やがて細胞は電気刺激に応答しなくなります。つまり、疲労がたまり、エネルギーがうまくつくられなくなります。

 このときにCoQ10を添加しておくと、乳酸値やLDH値の上昇とATP量の低下はともに抑えられ、その結果、電気刺激に対する細胞の応答時間が延長しました。こうしたことから、マラソンなどのような有酸素運動の際に見られる筋肉疲労を、CoQ10が防ぐように働くことがわかります。体内のCoQ10は加齢とともに減少することを考えると、高齢者が有酸素運動を行う際にとくに有効であると思われます。

 また、CoQ10は心筋細胞の拍動を増強する作用のあることも確認されました。さらに心筋細胞の拍動を安定化させる働きのあることもわかり、増強と安定化という2つの作用は、CoQ10が細胞内のATP産生を賦活することで引き起こされることもわかりました。

 このようにCoQ10は、ATPをつくり出す働き手として十分に活躍することでエネルギー産生を促し、骨格筋や心筋といったエネルギー消費の盛んな組織に好影響を与えることが裏づけられたといえるでしょう。

エネルギー産生の促進からさまざまな効果が期待。

 CoQ10は、私たちの体のすべての細胞に存在しますが、その量は組織によって違います。エネルギーを多く必要とする組織ほど多く、心臓や骨格筋をはじめ、肝臓、腎臓などにたくさんのCoQ10が含まれています。エネルギーを大量に必要とする組織にCoQ10が多く存在することは、理にかなった、生体の不思議な力といえます。

 反対に、CoQ10が多く含まれている組織ほど、CoQ10が不足することによるダメージは大きくなることもうなづけます。CoQ10は20歳の頃をピークに年齢とともに減少しますが、CoQ10の減少はエネルギー産生能力の低下を招き、全身の細胞の機能が低下して臓器や器官の働きが弱まり、それがさまざまな病気の発症につながります。

 このようにCoQ10の作用について考えると、心臓の働きを強くするといったことはあくまでも結果であり、そこに到達するまでの過程、つまりエネルギー産生を促すことが健康維持に重要だとわかります。このエネルギー産生を促進する役割と同じように、CoQ10のもうひとつの大きな役割が抗酸化作用です。次に老化と関係の深い抗酸化作用について簡単に見てみます。

抗酸化作用

エネルギー産生とは違う形でCoQ10が作用し、抗酸化作用を発揮。

人が避けて通れない体の酸化をCoQ10が守る

 私たち人間をはじめ、ほ乳類などの動物は、酸素がなければ生きていけません。その一方では、マウスを酸素濃度の非常に高い場所で飼育すると寿命が縮まるという実験結果がよく知られているように、酸素は強い毒性も併せ持っていますので、「体がサビつく」という酸化現象から、私たちは逃れることはできません。

 そのため、人には酸化から身を守るシステムが本来備わっています。SOD(スーパーオキシドディスムターゼ)やカタラーゼ、グルタチオンといった「抗酸化酵素」です。しかしこれだけでは生体脂質の酸化を防ぐには不十分。前述したビタミンEやC、カロテノイドなどの抗酸化物質が必要となりますが、CoQ10はそのなかでも第一線で働く強力な抗酸化作用を発揮します。

 ご存じのように酸化の元凶となるのが活性酸素で、これが過剰に生成され続けると体各部の脂質やたんぱく質などが酸化します。こうして体がサビついた状態を「酸化ストレス」が加わった状態と呼びます。

 酸化ストレスは臓器・器官のあらゆる部分に害を及ぼすといっても過言ではなく、老化をはじめ動脈硬化や心筋梗塞、がん、糖尿病、紫外線障害に至るまでさまざまな病気を引き起こします。それだけに抗酸化物質は私たちの健康的な生活にとって欠かせない物質です。

酸化型CoQ10が還元型に変わり抗酸化作用を発揮。

 CoQ10の抗酸化作用は、「還元型」と呼ばれるCoQ10が重要になってきます。

 一般にある物質が酸素と結びつくことを「酸化」、反対に酸素を奪われることを「還元」といい、酸化と還元は同時に起こる化学反応です。CoQ10のサプリメントは組成が安定していることから「酸化型」ですが、体内に入るとその一部は「還元型」となり、抗酸化物質として働きます。先のエネルギー産生が酸化型によって十分に作用が発揮されるという報告がありますので、つまり、サプリメントでCoQ10を補給すると、酸化型と還元型の両方のCoQ10が体内に補給されることになり、エネルギー産生促進作用と抗酸化作用という2つの違った働きを生み出すことにつながるといえるでしょう。

ビタミン同様、日頃から補給を継続することが重要。

 CoQ10は加齢とともに減少するため、食品やサプリメントなどで補給することが必要です。食品ではいわしなどの青魚、牛や豚などの肉類、卵、ピーナッツなどに多く含まれています。しかし、いずれも含まれる量自体が少ないので、サプリメントによる補給が望ましいでしよう。

 CoQ10は比較的長く体内にとどまるとはいえ、補給しても1週間程度でもとの血中濃度に戻るといわれていますので、継続して摂ることで効果が期待できます。ビタミンやミネラルと同じように、CoQ10も日頃から補給し長く続けることが肝心です。

 「心臓病の薬と一緒に飲んでも大丈夫なのか?」といった声をよく聞きますが、一部の例外を除いて問題はありません。これまでに他の医薬品との関連性が指摘された報告はありませんし、重篤な副作用も報告されていません。CoQ10は人が本来持っている物質ですから、安全であることは間違いないといえます。

CoQ10研究

多数の研究報告に裏づけられた確かなサプリメントがCoQ10。

現在もすべてが解き明かされてない有望な物質。

 1950年代に発見されたCoQ10は60年代後半から世界中で研究が活発に行われるようになりました。日本では74年から医薬品として使用され、のべ600万人以上の心疾患患者に投与された実績があります。アメリカでは94年にサプリメントとして認可。ビタミン等と同様に欠かせないサプリメントとして人気が定着しています。

 日本では昨年食品としての使用も認められたCoQ10は、いわばサプリメントのニューフェースです。しかし、ある日突然注目を浴びるようになった他の多くのニューフェースと決定的に異なるのは、CoQ10は長い歴史と豊富な実績を持ち、多数の研究報告によってその効果が実証されている点です。さらに人が本来持っている物質であることも、他とは違うCoQ10の大きな特徴です。生体が必要とするからこそ、ミトコンドリアという細胞レベルに存在し、体内で合成され、その欠乏によって体の各部に支障が出てくるのでしよう。

 こうしたCoQ10の特徴をあらためて考えると、きわめて魅力あふれる素材といえます。多数の研究報告があるものの、CoQ10の効能や作用のメカニズムはすべてが解明されているわけでなく、今後さらに研究が進むことでエネルギー産生促進作用・抗酸化作用とは違う新しい魅力がプラスされることも期待されています。

Message from Dr. CoQ10の研究
実績も研究報告も多数あるCoQ10は実証データのない健康食品とはひと味違う。
岡本 正志 先生

CoQ10の量産化に世界で初めて成功した府川博士(元日清製粉常務)をはじめ、CoQ10研究に果たした日本の研究者の役割にはとても大きなものがあります。私が師事していたCoQ10研究の権威・フォーカース博士も、日本の研究者の功績を高く評価されています。その中でCoQ10は効果や作用機構が明確に確認されており、それだけに、実績も実証データもない他の一部の健康食品とは一線を画していると確信しています。CoQ10研究の一端を担う者として、陰ながらCoQ10が皆さんの強力な味方になることを願っています。

別冊 リブロン通信 2002.09.10発行
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